事実婚とは?
現代では事実婚という形態で夫婦生活を送るカップルが増えています。
一昔前の「内縁」という消極的非婚とは違って「現行の婚姻制度に縛られたくない」「夫婦別姓の自由」「旧来の家制度、戸籍制度に反対」など各人の主義・主張によって法律上の婚姻届を提出しない「事実婚」という積極的非婚が増加傾向にあるようです。
では「事実婚」と似たような意味で使われる「内縁」や「同棲」との違いはあるのでしょうか?
もちろんこのサイトのテーマである「離婚」というキーワードに関して事実婚の離婚(事実婚の解消)の際にそもそも
慰謝料や養育費などは発生するのか?
一般的な法律婚とどのような違いがあるのか?
を見ていきたいと思います。
「事実婚」「内縁」「同棲」の意味の違いとは?
「事実婚」、「内縁」、「同棲」など一般生活ではさして明確な違いを気にせず使いがちですが、その関係を解消する際には法律上では大きな意味の違いが生じてきます。
「事実婚」の定義を辞典や辞書で調べてみると以下のように記述されています。
法律上の婚姻をしていないが、社会的に夫婦と同一の生活を送っていること。
特に、婚姻の意思がない点で内縁と区別して使用される。
(大辞林 第三版の解説)
届け出を欠くため法律上有効ではないが、事実上の婚姻関係があり、社会の慣習上婚姻と認められるもの。
(デジタル大辞泉の解説)
社会の慣習上婚姻と認められる事実関係。
このような事実婚を直ちに法律上の婚姻とみる立法主義を事実婚主義という。
日本の民法は戸籍届出による法律婚主義をとるが,事実婚で民法上婚姻と認められない,いわゆる内縁をいろいろな点で判例上保護している。
(百科事典マイペディアの解説)
内縁と同様,法律上の婚姻成立要件を欠くカップルの関係。
内縁との違いは,当該男女が,現行の婚姻制度に対しなんらかの疑問をもち,積極的・自発的に法律婚を選択しないという点にある。
(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説)
フランスでは事実婚が社会的に認知されています
辞書は難しい表現で説明していますからわかったようなわからないような曖昧な表現ですが、法律上は「事実婚」と「内縁」はほぼ同じ意味で扱われていて婚姻に準ずる関係(準婚関係)として夫婦共同で生活し、実質的に婚姻と同様の効果が一般的に認められているが「同棲」は単なるお付き合いの一形態で夫婦としての共同生活が現実に営まれているわけではないと見なされ法律的な保護の対象にはならないという考え方が一般的です。
これまた片方は「事実婚」だと思っていたのにもう片方は「同棲」だと思っていたなどという事になると厄介な問題になるとは思いますが・・・。
そこで問題となるのは「事実婚」や「内縁」と認められるにはどのような要件が満たされている必要があるかという事になります。
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